「これ、おいしいね」

「メジャーリーガーの女房 ヨメだけが知る田口壮の挑戦、その舞台裏」。
田口壮は渡米後、ヨメ・田口恵美子に
「ありがとう」「うれしい」「すまない」を口にだして言うようになった。


  新婚当時、何を創っても黙々と食べる彼を見て、
  (おいしいの? まずいの? うれしいの? 不満なの?)と
  疑心暗鬼になっていた私だが、「これ、おいしいね」と口で
  伝えてくれることによって、安心したり、反省したり
  できるようになった。


あー、そういえば、
1、2か月ほど前に読んだ新聞エッセイに、
しあわせになる簡単な方法とは


  相手の目を見てしっかり「ありがとう」を言うことだ


なことが書いてあって(うーん、誰だったっけ)
それは言うほどたやすくないよと思っていたが、反省。
やればできる、か。



「メジャーリーガーの女房」は、吐露されている
夫・田口への本音と愛情のバランスがよく、たのしいたのしい。
あー、そんな苦労が。そんな大変なことが。と、だはだはめくるが、
その終章で、ヨメ自身が、アメリカ生活最後の3年間で
不安神経症またはパニック障害にかかったことが明かされる。


明るくて、やさしくて、努力家の、これ以上は望むべくもない夫とともに、
彼女自身も、そのテキパキめのキャラクターで
アメリカ生活に伴う困難をうまく乗りきってきた、はずなのに…。
あらためて最初からページをめくると、
この生活、
おれなら2か月もたないなあ…としみじみ思う。


花粉症がアレルゲンの体内蓄積が一定量にたまると発症するように、
都度都度解消したり、それをおして余りあるはずの悦びを時に得たとしても、
ストレスの一部はうすくうすく確実に積ってゆくのかもしれない。
(また彼女、悔しかったこと辛かったことを本当によく覚えているし)


■(メジャー挑戦にあたっての夫妻の決めごと)
 「こんなはずじゃなかった」と言わないことだ。
           (「メジャーリーガーの女房〜」)

※※
■一般に社会が未成熟だと個人は成熟しますが、
 社会が成熟すると個人は未成熟になる。
 インフラが整っているから未成熟な個人でも
 生きていけるのです。
(きのうの日経夕刊。斎藤環が、引きこもりについての記事の中で)