全員がデーブ・スペクター止まり
BRUTUS(080701)。
美術史家の山下裕二が、近年 筆描きにシフトした「バガボンド」の井上雄彦について、
はっきり言って、これほどの線が引ける日本画家は、
第二次大戦以降ひとりとして存在していません。
井上さんは存命の日本画家の誰よりも画力がある。
と言い切る。おおお。
その山下氏は、現代は、日常字を書くのはペン、鉛筆、キーボードの、
“筆ネイティブ”のいない時代だとし。
デーブ・スペクターが日本語力抜群といってもネイティブスピーカーではないように、
今、日本画を描いてる人たちは、全員がデーブ・スペクター止まり。
なのだとばっさり。が、井上雄彦は
膨大な仕事量と大勢の読者の存在のもと、こんな短期で
ネイティブに遜色ない筆力を身につけたのでしょう、びっくりです、と驚いている。
※
ああ、山下氏とは、赤瀬川源平翁と“日本美術応援団”を組んでる
あの山下裕二だったか。
日本画通史を引きながら井上雄彦を評価する、
切っ先鋭くも すんごくわかりやすい4ページ。勉強になりもした。
■(現存する、宮本武蔵“が”描いた絵について)
僕の目には、武蔵の筆使いは非常に「臆病」なものに見える(後略)。
(山下裕二、同上)
※※
■「村の人間は、頭のいい奴には身構えちまうもんさ。
やりこめられちまうんでねいかとか、そういうことをつい考げえちまう。
だけんども身体が丈夫ちうのはわかりやすいんさ。
信頼してもらえるんだ、学歴なんかよりな」
■政治ったらなんさ。みんなが分相応にいい目にあえる工夫のことでねいか。
(以上、「いなかのせんきょ」藤谷治 2005)