言いたいことはヤシの実の中
角川書店時代に見城徹は
ジュリーの「晴れのちBLUE BOY」の一節
<いいたいことはヤシの実の中>
を聞き、この詞はすごい、書いたのは誰だと会いに行き、以後、
その作者・銀色夏生の本を 20冊以上ひとりで作ったという。(見城徹「編集者という病い」より)
ううう。
何冊もその詩集をよろこんで読んだおいらに文句をいう資格はないのだろうけど。
そして、
見城氏の言うように、彼女が「チームワークで仕事ができない人」で。
装丁・写真・イラスト・紙質の選択…まで全部彼女が行う、
これ以上はない環境で その作品作りがすすめられたのだとしても。
それでも、彼女の詞の歌を、もっと俺は聞きたかった。どうしてくれる。と、
恨みににた気持ちが一瞬沸きあがる。
(全くもって逆恨みで、恨むとしたら彼女を大切にしきれなかったJ-POPの制作班だろう)
「晴れのちBLUE BOY」にはほかにも
あの娘はメロンかくしたままで Good-night Good-night
あの娘は窓から出てった Good-good-good-night
カッコいいことこのうえないフレーズがあり。
大沢誉志幸には
ここからは海が見えると
暗いから今は無理だと
見えない海を見せてくれたね(「君の住む街角」)
尋常じゃなく繊細で哀切でアクロバティックなフレーズも書いている。
それから。守谷香というアイドルのコに書いた
(ふにゃふーふにゃふーふにゃふにゃ ※思い出せないが「あなたも私を好きだといいな」的なこと)
ひそかに期待して
手がかりの ひとことを待っていた(「あの空は夏の中」)
あれもよかった。
詩集のフレーズはほとんど思い出せないけれど、
歌は、ほとんど20年たっても
そのせつなさごと こうして辿ることができるのだから。
まだ間に合う。見城氏、彼女を
歌の世界のてっぺんに載せなおす仕事をしてくれないかなあ。
※※
「編集者という病い」読み応えあり。が、
同じ話が同じレトリックで何回も何回も何回も出てくることには鼻白む。
■僕は僕を変えてくれるもの以外に興味がない。
■売れるコンテンツの四つの要素
1.オリジナリティがあること。2.明解であること。3.極端であること。4.癒着があること。
■七転八倒しなければ、そして脂汗を流し涙を流しながらやらなければ、
仕事は進まないということを俺は尾崎(豊)との日々の中で学んだ。
■彼(尾崎豊)は人の三倍も四倍もの悲しみを溜めてしまっていたから、
三倍か四倍の速さでしか生きられなかったのだろうと思います。
■僕が編集者として生きている理由は、自分の中の消せない記憶を世の中にも
出したいからかも知れない。そう思うようになりました。(中上健次についての文の中で)
■(「あなた嫉妬深いね」「あなたは野心家だ」など)
人に指摘する言葉はすべて自分の中にあるものです。
■危険な道のランクがABCDとあればウジウジ悩んだ末にAにいく。
(※それができない局面ではどこも突破しないでEへ。ミドルはない)
■(仕事のしかたで部下にいうのは)だから、キッチリ自分の体重をかけろって。
(以上、見城徹「編集者という病い」)
■ワシントン・ポストが「安倍晋三のダブル・トーク(ごまかし)」と題する社説を掲載(朝日のウェブ)