ドラッグストアの思い出は、恥ずかしさとともにある。
酒井順子「泡沫日記」(2013)。
白髪隠しに頭部用のマスカラを買いに行き、
ふと羞恥をおぼえ、振り返る。
ドラッグストアの思い出は、恥ずかしさとともにある。
慣れてしまえばどうということはなくても、初めて
買う時は死ぬほど恥ずかしい、というものがここには
たくさん売っているのだから。
だなすだなす。
おれもハゲの家系対策剤を買ったとき、そうだったなあ。
いやおれは
ハゲの家系であって、ハゲかけ、ではない。と
主張する声音が、
その毛根のように頼りなってゆくこのごろである。