別に医学的にはなんの意味もないことかもしれない
「さよならタマちゃん」(2013)。
病院で、抗がん剤の副作用で無精子症になるだろう、
ついては精子の冷凍保存をしてはどうかと医師に勧められ、
院内の処置室にて自慰をする主人公。
モニターにAVを映して、また、ぷつりと消し
別に
医学的にはなんの意味もないことかもしれない――
けど
と、妻を思い浮かべてコトを行おうとするが
おそらくは自身の病状など、
考えてもしょーもないことが
頭の中をぐるぐる回って
何度もふりだしにもどされる
何度も萎える自身をふるいたたせ、
妻のやさしい表情を浮かべ、名前を呼び、果てる。
これは、今まで僕が出会った、
もっとも美しい自慰のシーンだ。
※※
中学時代の僕が笑った、
たぶん谷村新司のラジオ本で読んだ
殿と家臣の会話。
「爺、何をしておる」
「は。自慰にございます」
ねえもう。