正論が全く通用しないところに、ファッションの愚かさも力もある。

中野香織「モードの方程式」(新潮文庫)を、
トイレの中で4-8ページずつ読み、読み終える。
トイレ読書は温水洗浄便座になってこの2年半ほどの習慣なのだが。


コラムひとつひとつに発見があって、
著者の服飾ブームへの目も存外にシニックで。


続けて読むと早めに もーいーか、な気になる、なんか、
エスプレッソ的な?コラムなのだけど。
それが幸い、
5分後にトクした気分でさっと出られる。


ああっ。この本にトイレ本大賞をあげたい!
こんな名前の賞ではいらないと思うけど。


もとい。
たとえば2002年の十字架ペンダントブームに、
キリスト教団体が非難の声明をだした、というネタでは
かの言い分を


  キリスト受難のシンボルである十字架を
  富をひけらかすアクセサリーとして使うとは何事か、というわけである。


と、切り出し。
中世の先の尖った靴、17世紀のつけぼくろなど、
約2000年のファッション史のほとんどすべてが
キリスト教精神を逆なでしてきた、と概観し。
着地が、


  不謹慎?そうかもしれない。
  しかし、正論が全く通用しないところに、
  ファッションの愚かさも力もある。


かーっ。男前だ。


※※
「モードの方程式」は日経朝刊にもう6年も連載されているのだけど、
日経らしからぬというか、すごくそこだけ浮いている。
でも、この充実ぶりだもの。ロングランむべなるかな。



※※
戦場由来のファッション
クリミア戦争。カーディガン伯爵7世
第一次世界大戦アメリカ軍の陸軍制服「チノズ」。
 チノパンの「チノ」は CHINO。中国からきた生地だった。
・トレンチコートの「トレンチ」は塹壕
・レジメンタル・タイの「レジメント」は連隊のこと   
           (「モードの方程式」より)

あとでまたメモしよう。